「マクベス」観劇

by とな




今日は、佐々木蔵之介さん主演の舞台「マクベス」の東京千穐楽でした。
この舞台はちょっと変わっていて、かの有名なシェイクスピアのマクベスを、
俳優さんがほぼ一人で演じきるというものです。
蔵さんは昔から好きな俳優さんなので、もう観に行くしかありませんでした。

以下、ネタバレ有



◇◇◇
恥ずかしながら、わたし、マクベスはあらすじをなんとなくしか知りませんでした。
小身者のマクベスが、魔女にそそのかされ周りのものを殺してのし上がるけど、不安はぬぬぐえず、結局復讐される…?程度。ぼやぼや。
なのでこうなったら、あえて事前情報をこれ以上入れない、という方針で見ました。

舞台は精神病棟。
セットは本場から持ってきたオリジナル版とのことでしたが、これがスゴい!
そんなにたくさん見てきたわけじゃないので、はっきり言えないのですが
硬いものは硬く、冷たく、リアルというか…
何というんでしょう、作りもの、という感じがしないんですよね。
よく友人に日本と海外の舞台のセットは全然違う…
という話を聞かされていたのですが、少しだけ体感できたかも?

さて、開演。
一人芝居、ということでしたが、医者と看護師ふうの男女も出てくるみたいです。
患者の服みたいなのに着替えさせられ、
「いつまた会おう 三人で。」
その一言から、マクベスの物語が始まっていきます。

いやはや、俳優さんひとりの身体で、こんなにも表現できるのか!とびっくり。
演じ分け、登場人物がよくわかってない自分でもちゃんとわかりました。

「きれいはきたない。きたないはきれい。」
冒頭のモニターを使った3人の魔女の演出。
これが蔵さんらしくて良かったです。

その後しばらくして登場するマクベス夫人、これもよくハマっています。
欲が深いというか、野心に燃える夫人。
登場のシーンもそうなんですけど、セ…のシーンとか
艶かしい、艶かしすぎるよ夫人!(というか蔵さんが)
いや、すごいものを見た…。

笑いどころもちょっとあり。人形とかね。
後で確認しましたが、人形がマルカム。
余談ですが、マで始まる登場人物は他にマクダフがいます。
後半になるとめちゃめちゃ出てくる名前。
このあたりでごっちゃになり混乱していくわたし…やはりもう一回見たかった、笑
登場人物の関係や名前くらいは頭に入れておけばよかったなーと後悔。

ごっちゃになる、と言いましたが、そう、患者の精神、マクベスの精神と
共鳴するかのように、舞台そのものも混沌としていくような演出なんですよね。

前後関係がうろ覚えですが、
患者を写すモニターに、現実にはいないものが写りこんだり(ホラー?)、
これまで「外」の存在であり、マクベスと関係のなかった
医者と看護師ふうの男女までもが演者として物語に入り込んでいたり。

最後、バスタブの中でしばらく浮かんでこない患者が怖かったです。
おそらくここで、マクベスは息絶えるのでしょう。
結構長い、長い、長い…え、これ大丈夫…?
楽日なせいもあってか、周りのみなさんは安心して見ている様子でしたが、
初見のわたしはちょっとドキドキ、ソワソワ。
無事に顔を上げた患者のもとに、医者らが再びやってきて
「いつまた会おう 三人で。」

うーむ、なかなか難解ではありませんか。
「果たしてこの患者は何者なのか」
「なぜ、『マクベス』を演じる(憑依されてる?)のか」
おそらくマクベスの物語はあまりにも有名なので、
単にお話を追っていくというよりは、
この根本的な謎を念頭に置きつつ見るようにつくられているのだと思います。
ヒントになるのは、大事そうに抱えた紙袋の中の子供服。
ところがこれは患者がマクダフの子どもを殺す時の小道具でもあって、
何が彼を苦しめているのか、色んな可能性がよぎります…
そうしているうちに、苦しんでいるのは、見ている自分もそうなのでは、という気になってきます。

そうして、最後の冒頭へと続くような〆。
患者は再びマクベスを演じ続けるのか。ずっと、ずっと繰り返し…
でも、もしも演劇がわたしたち観客に向けてのメッセージであるとするなら、
マクベスを演じる=苦悩するのは、わたしたち自身なのでは?…とかね。

とにかく、俳優さん…蔵さんのエネルギーがすごいな、と改めて実感。
やはり生でしか得られないものをいっぱい得られた気がします。
ぴんと張り詰めた空気感…とか、上手く言えないんですけど、
演劇ってやっぱりいいものだなあ、と。

あとどうでもいいですが、水に入ったり出たり忙しくて、寒そうだなーとか…
自分の座ってた席がめちゃめちゃ寒かったので、身体が心配になりました。
(演ってるときは何も感じなさそうだけど)
そうそう、思ったより服着てない時間が長かったです(笑
例によって肌めっちゃ白いんですけど、ちゃんと鍛えてるしで…どきどきでした。

ところで、ラッキーなことがありました。
会場着いた時に、パンフとフォトブック「動く森」を買ったんですけど(盛りだくさんでよかったです!フォトブックはサイン入りだし)、楽日ということちょっとしたで抽選付きでして。
公演終了後、それが発表されてて、劇中で患者がつけていたリストバンドが当たりました(笑
しかも、今日のぶんのが…!(どうも使い捨て仕様であるらしい)
スタッフさんにさっきまでつけてたやつです、おめでとうございます!
と言われてびっくり、びっくり…近くにいたフォロワーさんもすごく喜んでくれて、すごく、嬉しかったです(;;)自分もっとがんばらねば…

まだ地方公演もありますから、陰ながら(本当に陰ながらこっそり)応援しています。
色んな方に見ていただきたい舞台だと思いますので、よかったらぜひに!